「二人日和」上映のお知らせ

JALSA66号の47ページ「コラム」の欄に監督の野村さんが、この映画について寄稿されています。自主上映されていた映画が東京岩波ホールで初めて、劇場上映され、上映成績が大変よかったことや、主役の藤村志保さんがこの映画についてパブリシティをあちこちでされていることもあり、全国展開になっているようです。(実は、岩波ホールと事務局が近いこともあり、藤村さんが 表敬訪問して下さいました)

映画はALSがテーマではなく、初老の夫婦の愛の物語です。私も観ましたが、京都の四季とともに、夫婦の想いが静かに抑えたトーンで描かれ、また他人ではあるけれど、心優しい若者のカップルのストーリーも、初老の夫婦の人生と交わり、なかなか深くていい映画でした。

2005年11月26日、岩波ホールにてロードショー公開

2005年/日本/カラー/111分/ビスタサイズ/SR/ 配給:パンドラ
仙台では,仙台フォーラムにて上映されます。詳しい上映案内はこちらをご参照ください。

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解説

「二人日和」は長年連れ添った夫婦の深い絆を通して、生と死を見つめた作品である。

古都・京都で、伝統ある神祇装束司(じんぎしょうぞくし)を務める黒由玄と妻・千恵。45年もの長い年月をともに生きてきた彼らの静かな日々は,妻が不治の病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒されたときから少しずつ変わってゆく。

京都の四季折々の風景を織り込みながら、伝統的な日本家屋・町家(まちや)で暮らす夫婦の日常と、二人の静かで純粋な愛のかたちを叙情豊かに描く。

伝統を守る誇り高い職人であり、こまやかに妻を気遣う黒由を演じるのは、「新選組血風録」(1965TV)の土方歳三役で多くのファンを持つ栗塚旭。美しい京言葉の中に芯の強さを秘めた妻・千恵に藤村志保。共に人生の年輪を刻んだ存在感で、今までの俳優人生の集大成とも言える名演技を見せる。

また、彼らの生活に新風を吹き込む、マジックの得意な青年役に、若手人気俳優・賀集利樹、その相手役に新人・山内明日が扮して、さわやかな魅力を放っている。

この作品は、かつての映画の都・京都に再び活気をという熱い思いから、京都を愛する人たちの手によって製作された。監督は「森の向う側」(88)「ザ・ハリウッド」(98)などで高い評価を受けた野村恵一。京都映画撮影所育ちの主演二人をはじめ、京都ゆかりの人々----華道研究家の池坊美佳、元ザ・フォーク・クルセダーズのメンバー、きたやまおさむ、服飾評論家でもある女優・市田ひろみなど、多彩なジャンルの人々が出演し、映画を応援している。

撮影は地元の協力により、夫婦が暮らす町家、華やかな葵祭や歴史が息づく街並みなど、すべてがロケーションで撮影され、市民もエキストラで出演した。古都の日常風景を居ながらにして体験できるのも、見どころのひとつとなっている。

なお,大映京都撮影所出身の大ベテランで美術監督の内藤昭も、千恵と同じくALS患者の一人である。内藤は野村監督、藤村志保、市田ひろみの共通の友人であり、「映画界の大先輩である内藤さんを少しでも励ませたら…」という撮影所仲間の想いからこの映画の脚本が書き始められた。完成した作品を病院で見た内藤は大変喜び、野村監督に笑顔で感謝の意を伝えたという。

「二人日和」はドイツのフランクフルトで開催された映画祭「第5回ニッポン・コネクション」で、「血と骨」、「世界の中心で、愛をさけぶ」を抑えグランプリにあたるNIPPON CINEMA AWARDを受賞した。

ストーリー

京都御所に面して建つ神祇装束司「黒由」。代々、京都御所関係、貴族や神官の装束を作り続けてきた黒由玄は誇り高い職人だ。彼の毎日は、梨木神社の〈染井の名水〉に水を汲みに行くことから始まる。その水で淹れたコーヒーを妻・千恵とゆっくりと味わうのが二人の習慣だった。

初冬のある日、千恵がALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病にかかっていることがわかる。筋肉を動かす運動神経が冒され、徐々に体の自由が失われていくという病気だ。医者からも「早ければ半年ほどで箸や茶碗も持てなくなる」と宣告される。次第に、体が思うように動かせなくなってきた千恵は苛立ちを隠せない。寡黙な黒由は、妻に優しい言葉をかけられるような男ではなかったが、彼なりに妻を慰めようとしていた。

黒由は、毎朝、神社の帰り道で見かけるマジックの上手な若者を家に招待した。若者の名は伊藤俊介といい、大学院で遺伝子の研究をしている学生だった。黒由は、妻の指の訓練にマジックを教えてもらえないかと彼に頼んだ。

俊介は戸惑いつつも、黒由夫婦の住む町家を訪れる。千恵は、鮮やかな手つきでトランプの手品を披露する俊介に感心し、久しぶりに明るい声を上げた。子どものいない黒由夫妻にとって、俊介の来訪は心躍るひとときになった。時折やってくる姪の江梨子も俊介に興味を覚えたようだった。だが、そんな日々も長くは続かない。春、雛人形を飾ろうとしていた千恵が倒れてしまう。

一方、俊介は大学院の教授から、アメリカ留学を勧められていた。

気持ちは動くが、恋人の恵と何年も離れてしまうことや家族のことなど、様々な思いにとらわれて、俊介は決断ができなかった。

やがて、俊介が出演するマジックショーの日が近づく。病室で招待状を受け取った千恵は、外出許可をもらい、夫の押す車椅子で出かけていく。帰り道、俊介は千恵の車椅子を押しながら、桜吹雪の舞う鴨川のほとりを歩いた。千恵は、初めて会った俊介の恋人・恵と親しげに歩く夫の姿を眺めながら、安らかな気分に浸っていた。

黒由は、千恵の看病のために、〈二藍の汗衫(ふたあいのかざみ)〉の装束の仕事を最後に、店をたたむ決心をする。家でひとり片づけをしていた彼は、偶然、千恵の鏡台から古い日記を見つける。そこには、若かったころの二人の出来事が綴られていた。

季節は過ぎ、新緑の芽生える中で葵祭も過ぎていく。千恵との別れの日が近づいていた。

スタッフ

キャスト


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