医療従事者等実地研修会

研修会の様子

平成19年7月11日(水曜日),宮城県神経難病医療連絡協議会が主催する平成19年度第1回医療従事者等実地研修会,「災害に備えて出来ることII」で,日本ALS協会宮城県支部支部長の和川さんご夫妻が講演を行いました。

対象者は保健所、市町村、訪問看護ステーション、神経難病医療ネットワーク拠点協力病院、ネットワーク協力参加施設など医療従事者で難病者に関わり日々奮闘して下さっている方々です。多くの方が講演に感銘を受け,今後の医療人としての活動のおいて活力になるものとなりました。

和川会長の講演

ALSの次男さんと在宅で暮らす上で地震を含めた災害に対して,特別な対策が必要です。講演の際には脳波のスイッチマクトスで作成したメッセージに添いながら、 ALSの次男さんと20年近く生きて来まして、1つの危険、1つの災害を経験する都度1つずつ備えを増やして来たことを紹介しました。以下はそのときにはつみさんが行った講演の一部です。

和川会長を中心に 記念撮影

我が家の安全対策

日本ALS協会 宮城県支部
支部長 和川次男・はつみ

研修会に向けて

脳波スイッチ マクトス作成
ALS患者 和川次男

私はALSと20年近く
    “守り 守られ 生かし 生かされ ”しあわせに生きております。
私はALSではありますが
    “自分の命は自分で守る”という意識と覚悟で生きてきました。
呼吸器をつけて、社会で生きるには
    “我が家で起きていることのすべては、自分たちの責任の元に生きる。”
事故 災害時、再発防止のため原因を追究しますが、
    “誰かを攻める事も お互いを攻める事も 自分を責めることもしない。”
そのための備えは必要に応じてする。

   参加者の皆様には
        患者家族を  ”あまり煽らず
                     “あまり 焦らず
                         “あまり 急がず
 
患者家族が自ら必要性を意識して、自ら備えていけますよう導いて頂きたい。

平成19年7月11日

災害別の対策

  1. 雷による停電:10年以上前のことで1時間以内の停電を経験しました。対策:外部バッテリーを1個補充して2個に、吸引器も2台にしました。
  2. 知り合いの患者さんの火事:15年前在宅の練習で病院の近くのアパートに療養していた方が火事にあいました。
    対策:火事になったらどうするかを 3人の子供達と役割分担を話し合う,吸引器3台にしました。
  3. 地震:20年ちかくの闘病生活の中で数回地震がありましたが、その殆どが家族だけの時に起こっているので、常に家族で役割分担して、地震に備える。

外出時

5年前の地震で東京から来ていた患者さんが仙台駅で立ち往生してしまった事から我が家の3段階お出かけリストを作った事をお伝えして、実際の3段階セットと,車椅子に装備しているものを紹介しました。

  1. 近所1.2時間のお出かけ用
  2. 市内の車での外出用
  3. 県内外の車での外出用
  4. 車椅子の2つのポケットの物品、アンビュー、回路、手動吸引器・・・。

療養環境の変化にあわせて

現在は患者家族が追い詰められる事なく、少しでも健やかな療養生活が送れる様にと他人介護の充実を求め続けて参りまして、療養環境は少し整って参りましたが、障害者でも、難病者でも総てを他人に委ねて社会で生きて行く事はできません。家族がしなければならないこと、家族でなければならない事、他人介護に任せる事を相互にしっかりと認識しあう事が必要です。

最後に

患者家族が自ら、自分の命は自分で守ろうと、危険や災害に備える必要性を意識していけるようにする事が大切である事、療養期間や家族構成、病気の進行に合せて備えも一層手厚く、慎重になって行く方向に導いて頂けます様お願いします。

介護に携わる方からも必要に応じて具体的な対応の仕方を提案して頂く事が望ましいです。災害に拘らず、呼吸器を装着して在宅で生きている私達の毎日は、日々危険と背中合わせで、1日1日の生活で精一杯で身体にも気持ちにも余裕がなく生きておりますので災害時の対策や工夫まで考えを巡らす状況ではないと思いますが、必要に応じて具体的な対応の仕方を提案していく事が望ましい。ALSの場合、普段の療養生活にも同じ事がいえます。ALSとどう生きていくかを患者家族が共に悩み考えて動き出すまで寄り添って見守って頂きたい。

命は守れば守るほど愛しく諦めきれないものです。しっかり備えて生きた命を大切にしたいと思っております。


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